天氣後報 II

ボルボックスを飼う(培養する)

2017.08.28 Monday 09:46
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    8月30日(水)に急遽開催となりました、スマホ顕微鏡(L-eye)撮影ワークショップでは、観察・撮影対象をいろいろご用意します。

    その中にボルボックスもあり、飼育(培養)してみたい方へ観察後、残ったものを販売します。

    培養方法はいろいろあるので、すでに培養経験がある方は、培地をご持参ください。

    培地付きでもご用意いたします。

                             >>L-eye 写真部ワークショップ

     

     

    ボルボックス/きらら舎

     

     

    ボルボックスのこと

     

    学名:Volvox
    和名:オオヒゲマワリ
    門 : 緑藻植物門 Chlorophyta
    綱 : 緑藻綱 Chlorophyceae
    目 : ボルボックス目 Volvocales
    科 : ボルボックス科 Volvocaceae
    属 : ボルボックス属 Volvox


    ボルボックスの学名「Volvox」の「volvo」はラテン語で「回転する」という意味をもちます。
    和名の「オオヒゲマワリ」の「マワリ」も同様の意味です。
    「ヒゲマワリ」というプランクトンも存在し、学名はプレオドリナ(Pleodorina)。ボルボックスの仲間で「オオ」が付かない分、ボルボックスより細胞数の少ないプランクトンです。
    このほか、ボルボックス目にはクラミドモナス(Chlamydomonas)という単細胞のプランクトンからゴニウム(Gonium、和名:ヒラタヒゲマワリ)、パンドリナ(Pandorina 、和名:クワノミモ )、ユードリナ(Eudorina 、和名:タマヒゲマワリ)などがいます。

    ボルボックスは球体をしていて、表面には一層の細胞層があり、約2000個の小さな細胞(体細胞)が並んでいます。
    イメージとしては球体の表面に体細胞が重なることなくみっしり並んでいる状態。
    各細胞は2本の鞭毛を持ち、その運動によってボルボックスはクルクル回って移動することができます。
    ボートで1列に漕ぎ手が並んだ場合は、同じ方向に水をかけば進みますが、球体の表面にいる別方向に向いた細胞がボルボックスが進みたい方向に動けるというのはすごいなあと思うわけです。でも、これが多細胞動物のすごいところなわけです。

    ボルボックスの写真を見ると丸い中にさらに丸いものがいくつか入っていることがわかります。
    これはゴニディア (gonidia) と呼ばれる生殖細胞です。
    この生殖細胞は少しづつ細胞分裂を繰り返して育っていきますが、なんと、親のボルボックスと裏表が逆なんです。つまり親のボルボックスでは表面に並んでいる体細胞は内側にあるのです。

    生殖細胞の1つの細胞が細胞分裂で2つなり、4つになり、やがて2000に達して親と同じ数の細胞数になり生殖細胞もできます。

    この時の電子顕微鏡写真では、生殖細胞(大きいので区別が付きます)が表面にあることがわかります。
    ボルボックスの胚の一方の極には、フィアロポアーと呼ばれる切れ目というか、穴があります。その穴の周りが外側に反り返り、どんどんめくれていって、最終的には表裏が逆転します。
    このひっくり返りはインバージョン(inversion:反転)と呼ばれています。これで体細胞が表面に現れ、生殖細胞が内側へと入るわけです。

    生殖細胞が細胞分裂で次世代の胚を形成したものは娘細胞と呼ばれます。
    娘細胞は十分に成熟すると親の体細胞の層を破って母群体から孵化します。二回胚を放出した親の個体は細胞死を起こすそうです。

    ボルボックスは正の走光性を持つので、光をあてると光に集まってきます。
    観察する際には光で集めてスポイトで吸いとりますが、ワークショプでは遠心分離機にかけてさらに密度を濃くしています。

     

     

     

    きらら舎のボルボックス飼育(培養)

     

    培地

    都市伝説的でもありますが、水はボルビック(Volvic)を使っています。

    一応、エビアン、 ヴィッテル、クリスタルガイザー、六甲のおいしい水、森の水だよりなど軟水をいくつか試しましたが、1か月もったものは他にはありませんでした。

    ボルボックスにはボルビックというのは正しいのかもしれませんし、単に、思い込んでいるだけで、たまたま他の水で試したものがだめだったのかもしれません。

    ただし、六甲のおいしい水で石灰石を入れないものでもよいという説もあるようです。

     

     

    ボルビック500mlのペットボトルにガスコンロの炎で炙った石灰石を1粒いれます。

    バーナーだと火力で石灰石が吹き飛んだり、どこかに置いた際に、菌が付着する可能性があるので、きれいなピンセットでつまんでコンロの炎で炙るというのが一番安全だと思います。

     

     

    ハイポネックス1滴

     

     

    従来の培地は、下に赤玉土をいれ、水道水を入れて煮沸消毒するというもの。二層培地と呼ばれます。

    これも長期間維持はできていますが、植え継のたびに煮沸するのも面倒かと思います。

    しかし、正統派の方法を試したいという方は、フラスコに赤玉土を1/5ほど入れて水を入れて石灰石を1粒、ハイポネックス1滴入れ、アルミホイルでフタをしたものを鍋などで(本来はオートクレーブで滅菌するので、圧力鍋だと確実)数回煮沸消毒します。

    当たり前ですが、ボルボックスは培地が十分に冷めてから投入します。冷ます間にコンタミ(ほかの生物が混入すること)がないようにフタははずしません。

     

    また、お世話になっている生物教材屋さんから伝授していただいたのは、試験管での培地。

    多くの小学校中学校では試験管を用いているそうです。

    試験管の底に石灰石(炭酸カルシウム)を1粒入れ、土を入れ、0.03%ハイポネックスを加えた蒸留水で満たし、ゴム栓をして1〜2時間煮沸消毒をするというもの。

     

     

     

    日々の世話

    適温は15〜25度。実際には12〜27度くらいは大丈夫ですが、15度未満、25度以上が長く続くと弱ります。

    冬は暖房を消して就寝する前に断熱シートなどで包んでおいたり、真夏も昼間は冷房が必要です。

    ボルボックスは光合成をしますので、1日24時間の中で16時間明るくして、8時間暗くするとよいと言われていますが、直射日光が当たらない室内の明るい場所に置き、人間の生活サイクルと同じでかまいません。

    夜更かしすることが多い場合は、翌日の起床時刻から逆算して8時間前に黒い紙で覆い、起きたらはずすようにします。

     

     

     

     

    植え継

    ボルボックスは殖えます。だいたい一か月くらいで密度がMAXになるので、そうしたら新しい培地を作り、親株を1群体投入します。結果的に培養が順調だとどんどん殖えてしまうことになります。しかし植え継が遅れて全滅したり、温度管理に失敗したり、雑菌が混入したりとトラブルはいろいろ起るので、常に数本で培養するといいと思います。

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    海月やその他生物(第弐標本室) | comments(0) | - | - |

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