決して若くはない2人の紳士は、天文台のドームの上でグラスを片手に夜空を眺めていました。
ドームの中には大きな望遠鏡があるのに、わざわざドームの上に小さな凹みを作って、そこで空を眺められるようにしてあるのです。
「君は長い間、あそこに居たんだねえ。」
「宇宙での任務は星の軌道上までの往復は時間を操作して、地球時間ではほとんど一瞬だから、こうして地球から宇宙を眺めていると、夢をみていたような気がするんだ。」
「北極星の周りをまわっていた時に、一度メッセージをくれたね。」
「大きな満月を見ているようで、本当にきれいだったからね。」
「どうだい? 今、あの星の光をマーブル化してみないか?」
館長の言葉に、思い出したようにポケットからマーブル化のための壜を取り出して、一晩中、北極星の光を集めました。
白く輝く光に、どこか冷たい光が筋のように入り込んだ球となりました。