天氣後報 II

偏光観察箱/鉱物レシピ059P

2015.04.23 Thursday 10:50
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    今回、「鉱物と結晶」という縛りはあったものの、結構いろいろ盛り込みました。
    その一つが「偏光」。

    水晶の螺旋のところで少しだけ登場させたので、その後のDIYのコーナーでちゃんと紹介したかったのでした。
    しかし、DIYをメインにしたので(そのほうが楽しいので)、「偏光」についての詳しい話はあまりしていません。
    そこでこの場でフォローをしておきます。

    まず、光。
    可視光や紫外線、赤外線については 034P にて説明しています。ここのグラフで光の色の下に数字が書いてあると思います。たとえば紫色と紫外線の間の380。単位はnm(ナノメートル)で光の波長を示しています。これより短い波長の光は人間の目では見ることができません(ブラックライトが紫色や青色の光として見えるのは、380nmよりも長い可視光が含まれているためです)。

    そう。光は波なのです。
    さらに正確に言うと電磁波です。

    波については、地震についての授業で縦波(P波)、横波(S波)という言葉が使われていたかと思います。P波は進行方向に対して平行な揺れです。これは空気にも伝わるため、空を飛ぶ鳥にも感じるものです。一方、P波よりも遅れてやってくるS波は進行方向に直角の波です。光はこのS波と同様に進行方向に直角な波です。それで本では「横波」という言い方をしました。
    専門的な呼び方では「直角波」といいます(これに対してP波は粗密波と呼ばれます)。

    光は進行方向に直角に、そしていろいろな方向に(上下左右斜め)振動して進みます。

    偏光板はいろいろな方向の振動している光の波の中から一定方向の波だけを通過させます。図鑑や理科の本などでは格子戸のような図が用いられます。この格子の隙間と同じ方向のものだけが通過できるというイメージです。
    偏光板は、格子戸の役割をします。そして一定の方向に振動する光以外を吸収します。

    偏光板は2枚セットで使います。

    実際に本で紹介した偏光観察箱を作ってみましょう。   >>きらら舎で購入する
    (きらら舎で販売しているものは本に掲載したものよりも大きな透明な箱と偏光フィルム2枚、雲母薄利片のセットです。)


    偏光観察箱/鉱物レシピ059P


    透明な箱に偏光板を貼りました。
    本の中では両面テープを使用していますが、ここでは瀬着剤で接着してしまいました。

    別に偏光板だけでもいろいろ実験観察はできるのですが、箱にしておくと楽なのです。
    箱のようにしてもいいし、同じ向きに重ねてもいいし、背中合わせにしてもいいし・・・・・


    偏光観察箱/鉱物レシピ059P

    背中合わせで重ねてみます。
    重ねても色が薄いです。
    これがオープンニコルという方向です。
    つまり偏光の向きが同じなので、1枚目を通過した光はそのまま2枚目も通過できているわけです。

    ニコル・・・・・カッコいい呼び方です。
    偏光板はWilliam Nicol(ウィリアム・ニコル )が開発した Nicol prism(ニコルプリズム)が元なので、このニコルさんの名前が付いているのです。
    オープンニコルは開放ニコルともいいます。

    偏光観察箱/鉱物レシピ059P

    写真ではわかりづらいのですが、斜めにすると少し暗くなります。


    偏光観察箱/鉱物レシピ059P

    そしてオープンニコルから90度回転させた角度で重ねると真っ黒になりました。
    この方向をクロスニコル、直交ニコルといいます。

    きらら舎では、このキットを販売しています。

    では、本にも写真を掲載した雲母をはさんでみましょう。

    偏光観察箱/鉱物レシピ059P


    白雲母の薄い薄利片です。

    偏光観察箱/鉱物レシピ059P

    オープンニコル

    偏光観察箱/鉱物レシピ059P

    クロスニコル


    雲母片の厚さが均一なものだと、クロスニコルでも向こう側が透けて見えるようになったりします(本に写真を掲載しています)。

    偏光観察箱/鉱物レシピ059P

    リチア雲母。

    偏光観察箱/鉱物レシピ059P

    オープンニコル

    偏光観察箱/鉱物レシピ059P

    クロスニコル。

    きらら舎に、バイカラーのリチア雲母が入荷しました。

    バイカラーのリチア雲母

    バイカラーのリチア雲母

    もともとはこのくらいの厚さですが


    バイカラーのリチア雲母

    このくらいにスライスして販売します。

    バイカラーのリチア雲母

    さらに、薄くスライスしてから偏光観察箱で観察してみてください。

    バイカラーのリチア雲母

    いくつかの標本をスライスしました。

    バイカラーのリチア雲母


    バイカラーのリチア雲母

    部分によって虹の出方が変わります。


    さて、次に偏光観察箱で、水晶球のエアリースパイラルを観察してみましょう。
    本の説明だと全くわかりづらく、また、観察箱は少し加工すると水晶球を観察しやすくなります。

    観察箱は以前、きらら舎で販売していた小さなもので行うか、逆に現在きらら舎で販売している大きな偏光観察箱キットを加工したものを使います。

    以前の観察箱


    組立て式の透明なギフトボックスの縁部分にクロスニコルの方向になるように偏光フィルムを貼ったものです。




    現在きらら舎で販売している観察箱キットを使う場合はクロスニコルの方向に箱になるように重ね、側面の1つを蓋と身共に切り落とします。
    ここから水晶球を指で挟んでさしこみ、正面から観察しながら、水晶球をくるくると回して内部にエアリースパイラルが見える角度を探します。




    水晶(石英)は一軸性結晶(単軸性結晶)なので、光学軸に垂直に偏光板ではさむとコノスコープ像(後述)を見ることができます。
    水晶は伸長方向に螺旋を描いて成長すると『鉱物手帖01』に書きましたが、この伸長方向(c軸)は旋光性を示す光軸にもなっています。
    自然光は電場が光の進行方向に対して垂直方向ではあっても、その条件下ではあらゆる方向に振動する成分を含んでいます。
    この中から一方向に振動している成分だけを取り出すのが偏光板です。
    クロスニコルの方向に重ねた2枚の偏光板の間に水晶球を入れる(正確には2枚の偏光板とc軸が垂直になるように入れる)と、水晶は偏光面を回転させる(旋光)ので虹の輪が水晶球の中に見えるわけです。
    この輪をコノスコープ像といいます。 この同心円状の虹の輪に重なってぼんやりと黒い十字が見えます。この十字をアイソジャイヤ(isogyre)といい、この十字の中心がc軸(光学軸でもある)です。
    ルーペなどを用意しておくとじっくり観察ができます。

    2枚の偏光板は偏光子と検光子で、検光子側に1/4波長板をはさむとこの輪が巴のマークのように渦を巻きます。『鉱物レシピ』にはその画像も掲載しています。
    この渦巻きが水晶の螺旋です。 カフェにそれを観察する道具がありますので、ご来店の際には観察してみてください。
     
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