ローマングラスとは、ローマ帝国下(B.C.27年から帝国の東西分裂の395年まで)で製造された硝子製品のことです。
それまでの硝子製造は鋳型を作り、出来上がったものを研磨加工して完成させるといった工程の手がかかるものしかありませんでした。
その結果、作られる数も少なく、高価だったのですが、紀元前1世紀半ばに、東地中海沿岸部で吹き技法が発明されました。ローマ帝国の権力と財力下で、硝子の製造は盛んとなり、多くの硝子製品が作られました。その結果、装飾品としてだけではなく、実用品としても庶民の間に広まり、さらにフェニキア人の航海術によって、また、シルクロードを経由して、ローマングラスは世界に広まっていきました。
きらら舎で扱っているのは、この中でも、シルクロードによってアフガニスタンまで運ばれて、その沙漠の砂に埋もれていたものです。
ローマングラスは博物館や美術館にも展示されているし、骨董の世界でも高額で取引されています。それらは、もとの硝子器の形を損なわずに残されていたもので、きらら舎で扱うものは、それらの欠片です。
ローマングラスは砂の中で眠っている間に、硝子の成分と砂の成分が化学変化を起こして銀化し、虹色の輝きを纏いました。この輝きは「パティナ」と呼ばれています。
出土された硝子はまず、付着した砂や泥を水で洗い落とします。
さらに、しつこくこびりついている土や剥がれそうなパティナをクリーニングします。
このクリーニングされて剥がされたパティナも売買されていて、だいたい一袋7万円くらいのものを仕入れて、ちまちまと試験管などに詰めて「妖精の鱗粉」という空想の世界ステルクララのアイテムとして、きらら舎では販売しています。
パティナは、そんな色のものが付着しているのではなく、虹色は光の干渉に因るモノです。
水に浸したり、光に翳したりすると、虹色はあっさりと消えていまいます(銀化が厚い部分に関しては、光に翳しても消えない場合もあります)。
また、角度や照明によっても、色や出現する位置がくるくると変わります。
そんな状態なので、写真に撮ってネット販売をするのは難しいので、少しづつしかできませんが、
リクエストが多いので、少しづつ、きらら舎販売をしています。
今回は5つだけ。
A
Aの欠片は形が可愛く、端っこにもともとは何かの縁だったのでしょう、少し盛り上がった部分があります。
銀化が厚く、クレーターのような凸凹もあります。
セメントがついているような部分はカッターなどで丁寧に剥がすと、下からさらにきれいな虹色が出る場合もあるし、剥がしたものも鱗粉のようできれいです。
小さな(直径2mmくらい)の穴を開けてあるので、アクセサリーなどの加工も簡単です。
B
Bの欠片は、もともとの硝子の色がとても青く美しいです。
光に翳した時の青色と、厚い銀化部分にある緑色の輝きが、幻の湖といった色を作っています。
パティナも青、赤、緑と多様です。
角の部分、全体の1/5くらいの面積で、とても青いパティナが出ています。それにかぶさるように、不透明化した銀化があります。この部分にも色とりどりなパティナがあるので、このままでもきれいですが、もし、これを剥がしたら、鮮やかな青色のパティナがさらに出るかなとも思います。
C
もとの硝子の色も爽やかな青色。
銀化は深く、パティナの表情も豊かです。
角度によって、青色、緑色、金色、紫色といった様々な色の光が出現します。
D
Dの欠片はAの欠片と似た、淡い水色の硝子です。
硝子の厚みがあります。ゆるやかに湾曲していて、凹んだ側には不透明化した銀化もありますが、角度によって爽やかな冷たい青色のパティナが出現します。
山となった側は青から緑のキラキラしたパティナが出ます。
角度によってくるくると変化します。
パティナが作った地模様があってきれいです。
E
Eの欠片はほぼ透明な硝子。丸くて扱いやすいと思います。
金色、ピンク色、緑色、青色・・・・・いろいろな色のパティナが踊ります。